大峯山 修験道 阪堺役講 光明組

ご挨拶
Greetings & Introductions

阪堺役講・大峯山寺正面鍵役光明組とは

修験道修行の聖地である奈良県大峯山。

山上ヶ岳山頂の大峯山寺は7世紀末に修験道の祖である役小角(役行者) が、金峯山で感得した蔵王権現を刻んで本尊とし、蔵王堂を建てたことに始まると言われています。
その大峯山寺で伝統的に行われている毎年5月の戸開式、9月の戸閉式において、本堂の鍵の開け締めを行うなど、護持院、吉野・洞川の両区とともに重要な役割を担っているのが「阪堺役講」です。

私達光明組は阪堺役講に属する山上講として歴史ある修験道の文化をまもるべく活動を行っています。

修験道について

修験道は古来より日本人が持っていたとされる山岳信仰や後に伝来した仏教などと習合しながら、飛鳥時代に役小角(役行者)が創始したとされています。

役小角については続日本紀や日本霊異記に記録がされており実在したと考えられていますが、鬼を従え天を飛ぶこともできたなど現実離れしていると感じるような伝説もあり、その生涯は謎に包まれています。

しかし、役小角が山岳修行により験を得ようとした背景には、当時大化の改新により混乱していた世の中を良くし、父母祖先の尊厳を守りたいというモチベーションがあったのではないかとする見方もあります。

つまり、他者のために自分が使える力を高めるための修行をしていたのではないかと想像できます。

ここで他者のため (利他)ということを考えたとき、私達はどうしても「してあげた」ということに満足しがちですが、受け取る側にとっては「気を使ってしまう」「ありがた迷惑」「余計なお世話」と感じてしまう場合もあります。

自分が受け取る側の立場であった経験を振り返ると、例えば思春期に親からの言葉を直接聞いたときは素直に受け止められなかったことが、自分が子を持つ立場になって振り返るとその意味がやっと理解できた、というように与えられたものに感謝できるようになるまでにタイムラグがあるケースもあるのではないでしょうか。

場合によってはその人の死後にやっとそれに気づくということもあるかもしれません。

今日、私たちがフグを美味しく食べられるのは、かつてフグの毒によって亡くなった人々や、研究を繰り返し、安全な調理方法を見つけ出した先人たちのお陰だと気づく、というように直接会ったことのないような人からの利他に時代を超えて気づく場面もあります。

つまり、「利他」とは行為が発生したタイミングではなく、その行為に込められた想いが受け手に届いたときに成立するといえるのではないでしょうか。

ということは、すでに受け取っているのに私たちがまだ気づけていない「利他」も無数にあるのではないでしょうか。

ところで日本人は山に対して「神が宿る」と考えたり、「死者の魂は山上から彼岸に還る」と考えるように、日常私たちが生きる世界とはちがう「この世とあの世の境界」のような特別な場として畏敬の念をもって関わってきました。

山岳修行とは、このような別世界でいわば「擬死体験」をすることであるともいわれます。

その非日常の体験によって「この世」に生きるありがたさや、先人たちからすでに贈られていた「利他」に気づき、いつか自分の行為も誰かに利他として受け取ってもらえるように自分を見つめ直し、鍛錬する機会であると考えています。

山の大自然に触れると、一歩踏み誤れば命を落とすような恐怖を感じたり、天候など自分の力ではコントロールできないことに気づき、自分の無力さを感じながらも、自分も大自然の一部なのだと母に抱かれたような安心感を得たりします。

また、大峯山には女人禁制や戸開式戸閉式の作法など歴史的に大切に守られてきたルールも多く存在しています。

一見すると、そこになんの意味があるのか、時代錯誤だ、と感じるかもしれませんが、ここで修行を続けてきた先人たちに想いを馳せ、すでにあるのに受取れなかった利他に時代を超えて気づくためにこのような伝統的な文化を伝えていくことが大切なのではないかと考えています。

その意味では「山」は時間や空間を超えた存在としてあり、そこには「古い」も「新しい」も、「良い」も「悪い」もないのではないかと思えます。

その人から贈られた言葉の価値や、その人のお陰で得られた体験の価値に気づいたとき、そのひとの人生がさらに輝いたものになり、受け取った自分も清々しい気持ちになります。

修験道とは数ある宗教の一宗派としてだけではなく修験「道」といわれるように、実践を通してそれぞれの立場から気づきを得て、現実から目をそらさず日常を生き抜くためのあり方そのものであると考えています。

日本の大切な文化として未来に継承するために多くの人々に修験道の魅力を知っていただき、できれば体感していただきたいと思い、このサイトを立ち上げました。

このサイトでは修験道の情報や光明講の活動を紹介しています。